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2008年12月19日 (金)

鳳陽歌の歌詞 ドラマ「李香蘭」より

ドラマ「李香蘭」の中で上戸彩が歌った中国語曲で、日本人にとってもっとも無名の曲、「鳳陽歌(ほうようか ホワンヤングァ)」。ドラマの中では李香蘭が満映に行く途中の列車の中で、同席した老人の二胡に合わせて歌われている。

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この歌は別に「鳳陽花鼓」とも呼ばれており、こちらの方が一般的には使われているようだ。英語だと Feng Yang Flower Drum というようである。youtubeのコメントを通じアメリカに移住した73才の中国人のおじいちゃんに教えてもらった。そのコメントを引用する。

C.Y. Lee's name in Chinese is 黎錦扬. The song,鳳陽花鼓, as you mentioned, should be familiar to all Chinese of my age. I learned it when I was a little boy in China. The song tells of the horrible conditions in which the poor had to sell their children. The melody and the lyrics are hard to forget. It brings tears to my eyes when I hear the song.

この方が小さい頃、まだ中国に住んでいたとき、よく耳にしたらしい。その頃の中国人なら誰でも知っているだろうということだ。子供を売らなければならないほどのひどい状況が歌われている。この曲のメロディと歌詞を耳にするたびに涙するそうである。

この方が言うには、李香蘭のために夜来香を作った黎錦光(れいきんこう)の弟、黎錦揚(れいきんよう アメリカ名:C.Y.Lee)と言う人が、「鳳楊花鼓」のブロードウエイ版の原作を書いたとのことだ。李香蘭とも浅からぬ縁がある曲だと言える。

もともと1300年代の中国安微省の鳳陽県に伝わる民謡である。明の初代皇帝朱元璋の世の中になったら、飢饉が起こったり、無理な首都建設で農民の生活が苦しくなった。洪水で追い出された避難民は売る物も無く、花鼓を叩き、歌い、大道芸をして生活をせざるを得なかった。という歌である。

そしてドラマ「李香蘭」でもまさにそういう台詞があったのだが、朱皇帝とは日本軍のこととして当時の民衆の間で流行ったのである。日本軍が来て以来、中国は荒れ放題なんだと。

中国には故事を使って現在を表す隠喩(いんゆ)の手法がよく使われる。李香蘭の出演した映画「萬世流芳」も、アヘンを持ち込んだイギリスに対抗する中国人という故事にまつわる話だが、イギリスを日本軍と見立てて民衆はこの映画を見たのだ。プロデューサーの川喜多長政は、予算は日本側から出させ、内容は中国人に受ける映画とする見事な手法で制作を進めたわけだ。

さて、この曲は歌詞をずっと探していてなかなか入手することができなかったのだが、こちらのサイト(加藤徹様のホームページ)に載っていた。600年以上の歴史の中ですこしずつ違う歌詞や旋律が出ているようである。このサイトによれば、「中国音楽詞典1985」の「鳳陽花鼓」に歌詞が掲載されているようである。また、「中国民間歌曲集成 安徽巻」p.639-640に載せる「新鳳陽歌」(1935年の抗日映画「大路」の挿入曲)の旋律とほぼ同じ。「新鳳陽歌」の歌詞は三番まである。

ということだ。どうやら抗日映画で「大路」というのがあり、公開が1935年ということなので年代的に判断して、上戸彩の「李香蘭」ではこれを採用したのだろう。

旧民謡  「鳳陽花鼓」(鳳陽歌)の歌詞

(赤い字がドラマで上戸彩さんの歌ったところ)

1.
説鳳陽、道鳳陽、
shuo feng yang   dao feng yang

鳳陽本是好地方。
feng yang ben si hao di fang

自従出了朱皇帝、
zi cong chu liao zhu huang di

十年倒有九年荒。
shi nian dao you jiu nian huang

2.
大戸人家    売騾馬
da hu ren jia   mai luo ma

小戸人家    売児郎
xiao hu ren jia  mai er lang

我家       没有児郎売
wo jia       mei you er lang mai


身背着花鼓       走四方
shen bei zhe hua gu   zou si fan

歌詞の意味

鳳陽は、鳳陽はね、
鳳陽は元々いいところ
明の朱皇帝出てからは、
十中九年は荒れ放題

大きなうちはロバを売り、
小さなうちは子供売る
うちには売れる子もいない
背負った鼓叩いて踊る

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コメント

Cosmopolitanさん

この歌の上戸彩、表情がなんとも豊かでかわいらしい。私はこのドラマで上戸彩を知って以来、彼女のドラマを何度か見たことがありますが、なぜか彼女はこの李香蘭での演技が一番いい気がする(失礼)。なぜなのかな。上戸彩は光と影の、影の部分に潜在能力があって、そこを上手に出せたときに光る人だと思う。おそらく彼女自身のなかにそういう二面性があって、李香蘭の役柄は、上戸彩が知らぬうちにはまる役柄だったのかと思う。

このブログですが、続けていくことに今日決めました。久しぶりにピンルーについて調べて、まだまだ大甘なことに気づいたのと、この頃の上海での歴史で、もう少し詰めて行きたいもの、私の頭の中でもやもやしているもの、そして「乗りかけた船」感があって、それらをすっきりさせたいと思いました。

ブログのタイトルに上戸彩と李香蘭という新旧女優二大ブランドを付けてしまったことを、今更ながら大胆かつ僭越だったなと感じていますが、迷惑がかからないように、まともなブログにしていきたいと思います。


相変わらず書き込みのペースは月に2つくらいですが、たまに覗いてやってください。

投稿: bikoran | 2008年12月24日 (水) 00時18分

 李香蘭が満鉄の列車の中で、老人の奏でる胡弓を伴奏として「鳳陽歌」を歌うところは、上戸彩さんの主演したテレビドラマの中でも、ひときわ印象に残るシーンでしたね。この曲と「漁光曲」の歌唱は良かったと思います。
 歳末の再放送、私も楽しみにしていますが、このブログは、その後も続けて下さることを希望しています!
 

投稿: Cosmopolitan | 2008年12月23日 (火) 17時19分

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