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2011年2月14日 (月)

日経の「風見鶏」で小野寺信の名が

日本経済新聞朝刊の2面に「風見鶏」というコラムが連載されている。その2011年2月13日付けのタイトルが、

「ヤルタの教訓が問うもの」

と、興味深いものになっていたので、読んでみた。

さきごろ、中国の胡錦涛主席がアメリカを訪問したが、そのときに米中のG2体勢を暗に求めたらしい、というような聞き捨てならない情報提供でこのコラムは始まっている。

そして、米中会談後、今後のアジアの秩序がどうなっていくのか、米欧の政府高官や専門家がストックホルムに集まり、非公開の会議を開いたらしい。コラムは、そこで議論されたという4つのシナリオを紹介していた。

その4つとは、

1. 中国主導のアジア

2. アジア共同体の成立

3. 米主導の秩序の維持

4. 覇権国なき群雄割拠

そして、ストックホルムでの議論は、日本の進路の話題に振られたという。米国との同盟強化に回帰するのか・・・・?日米同盟を弱めて、アジアは中国圏に染まるのか・・・・?

そして、このコラムは「日本の政治家よ、歴史に学び行動せよ」という結論へと連なっていくのだが、そこで、当ブログではおなじみの名前が出てきた。

小野寺信(おのでらまこと)、

である。

そう、1930年代後半の上海で、鄭蘋如(テンピンルー)や、近衛首相の長男文隆、近衛が上海に送り込んだ和平密使早水親重などと一緒に日中間の和平工作を行った人物だ。

以下、「風見鶏」から引用する。

(中略)

 日本には重い教訓がある。ヤルタ協定が結ばれたとき、実は、東京にも「ソ連が対日参戦する」との情報が入ってきた。スウェーデン駐在武官の小野寺信少将がつかみ、極秘電報を送ったのだった。同氏はすぐに終戦するよう重ねて打電したが、軍中枢は黙殺し、政府はこともあろうにソ連に和平の仲介を託した。

 終戦がもたつくうちに日本は2度も原爆を落とされ、ソ連の侵攻でさらに多くの命が散った。北方領土もロシアに実行支配されたままになっている。あまりにも大きなこれらの代償から政治家が何の教訓も学べないとしたら、むなしすぎる。

引用終わり。

以上がこのコラムの結びの文章だ。

私が2008年に書いた小野寺信の記事はこちら

小野寺信と「ストックホルムの密使」

以下抜粋

また、ソ連が日米和平を仲介してくれるようだ、という出所不明の情報によって、かつて「蒋介石を相手とせず!」と豪語した近衛文磨元首相が、ソ連までお伺いして、日本とアメリカの和平を頼みに行く計画がなされていた。ソ連はその話に乗っているふりをして、対日参戦準備のために時間稼ぎをしていただけだった。


ソ連軍は準備が整うや否や満州に攻め入り、近衛文磨の息子文隆を含む日本軍人数十万人のシベリア抑留者や、帰るに帰れない開拓団などの日本民間人に対する惨劇が待っていただけというのはなんともやるせない話だ。そして戦後の対日処理についてソ連に発言権を与えたくない米国は、すぐさま二発目の原爆を落とす。複数の原爆が落とされるという、小野寺の打電した通りになってしまった。

当ブログは知る人ぞ知るマイナーな人物を取り上げてきた。

鄭蘋如(テンピンルー)はもちろん、
小野寺信
早水親重
武田信近
近衛忠麿

などをグーグル検索するとトップに出るか、Wikipediaの次あたりに来る。いずれも、これまでほとんど取り上げられることの無かった、1930年代上海での影の日中和平推進者だ。

また、上に挙げた5人を逮捕したり監禁したり処刑を示唆したりした憲兵隊長、林秀澄についても、人となりが分かると思う。

これらの人物に、一すじの光をあてる、という意味では当ブログもわずかながら貢献できたかと思う。

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コメント

やなぎ様

たびたびのコメントありがとうございました。少し宿題を残したままなのですが、一端ブログを終了します。削除はしないので、検索で引っかかるなど、後の方々の研究のきっかけになればいいかと。
(ブログを終了するする詐欺が発生した場合はご容赦を!)

投稿: bikoran | 2011年2月20日 (日) 12時47分

お疲れ様でした。
あの時代の日本人と中国人が、決して戦争を望む人ばかりでなかった。
両国が手を組んで和平を考える、素晴らしい人達が
いたという事は、日中の歴史の光の部分として、もっと知られるべきであると思います。
そういう意味で、bikouranさんは
大変に意義のある事をなさったと思っております。

お仕事もお忙しいと思われますが、ブログが再開されるであろう事を信じて。
次の記事を気長に待っております。

投稿: やなぎ | 2011年2月19日 (土) 15時24分

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