上海より 3
9月5日の夕方からは上海万博へ。黄浦江の対岸から入場し、船で川を渡る。日本館に並ぶ長蛇の列をこの目で確認する。おそらく3時間くらい待つのではないだろうか。日本産業館も人気のようで、館内で手渡される日本産業館のロゴ入りビニール袋を下げている人がそこかしこにいた。
(中国館)
日本館の行列に入るつもりは最初からなかった。北海道館というミニパビリオンが併設されていたので、こちらに入る。こちらは並ばずに入れる。中は北海道の紹介パネルなどの展示品やひまわり畑をバックにした写真コーナーなど、シンプルな構成。出し物を見せる舞台があり、北海道の方がちょうど裸踊りをしていて、少し気恥ずかしい気持ちになったが、踊りが終わった後中国人からは大きな拍手があった(気がする)。この拍手は私にとっては大きな意味があった。
「上海歎異抄」の記事で書いたような、支那人に敵視されていた日本、そして中国人が長蛇の列をなしてパビリオンに入ろうとする日本。我々の国日本はどう変わったのだろうか。そして支那、中国は…
話は少し飛ぶが、ホテルで中国のテレビ番組を徘徊していると、偶然抗日ドラマに遭遇した。おそらく日常的に流れているのだろう。今だに、「恐ろしい日本人」、という刷り込みがなされているのだろうか。字幕にも鬼子(グイズ)という言葉が出てくる。
(中国国営テレビCCTV3で放送されていた抗日ドラマ。主役の子供が日本兵に捕まったシーン)
しかし、この少しだけ見た抗日ドラマに限っていうと、日本兵は最初だけ強く威張っているのだが、実はとても弱くて、滑稽なところもある、という展開だった。一人の日本兵が井戸に隠れていたのが、子供に見つかってしまい引っ張りだされて、ばつが悪い表情をする、というシーンが最後にあった。出てくる中国人も笑顔でいるシーンが多い。むしろコミカルな演出がなされていたといってもいいだろう。抗日ドラマといっても意外と軽いタッチになっているのかもしれない。あるいは、「ウルトラマン」や「水戸黄門」といったわかりやすい勧善懲悪モノとして視聴率を狙えるジャンルになっているのかもしれない。
(EUと併設のベルギー館)
さて、中国館は別格として、日本館に限らず、フランス、ドイツ、スペイン、スイス、3D映像が秀逸らしいサウジアラビア館など、有名どころは皆混んでいる。しかしラオス、ベトナムなどなど、全く並ばずに入れるパビリオンも多い。ヨーロッパではベルギー館に入ってみた。ここも並ばずに入れる。お目当ては併設されているレストラン。かなり本格的で、本場のカフェと比べても遜色ない。ベルギービールをしこたま飲んで万博会場を後にする。
そしてバンドに戻り、キャセイホテル(和平ホテル PEACE HOTEL 北楼)のバーに入る。ジャズバンドの演奏は終わった後だったが、逆に落ち着いて飲める。帰国後、ひょっとしてと思って西木正明の「夢顔さんによろしく」を紐解いてみた。そうしたら、このキャセイホテルのバーの止まり木に近衛文隆が腰を下ろし、スコッチを飲みながらテンピンルーを待つシーンがあった。さもありなん、という大人な雰囲気のバーだった。
続く
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